医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2020年9月23日

(372)日本の子どもの幸福度が低い

 昨日までの 4連休には息子と娘の家族が集まりました。新型コロナでの自粛生活で私自身は何日か分からない長連休ですが、 3家族集合は本当に久しぶりの感じでした。保育園から小学 5年生までの孫 5人はひどい密着ぶり、大騒ぎで、ウイルスにとっては最高に幸福な環境を作り出していました。
 ユニセフ (国連児童基金) が 9月 3日に公表した調査を連想しました。ウイルスならぬ「子どもの幸福度」の総合順位は経済協力開発機構(OECD)など加盟38カ国のうち、オランダ、デンマーク、ノルウェーがトップ 3。日本はほぼ真ん中の20位でした。
 幸福度は「身体的健康」「能力」「精神的幸福度」から成るとし、各 2項目を指標としました。 5歳から14歳の子どもの死亡率が低く、肥満率も 1番低かった日本は「身体的健康」では 1位でしたが、数学や読解力は高いのに友だち作りが苦手で合わせた「能力」は27位、自殺率が高いうえ、生活への満足感が 2番目に低かった「精神的幸福度」は何と37位でした。
 日本の子どもたちが満足できていないのは、生活の中心の学校が楽しい場所ではなくなっているからでしょう。大学までの長い期間、厳しい競争が続きます。宿題やテスト、塾通いがそんなに楽しいとは思えませんし、小学校、中学校、高校などの進学が何かのきっかけで思う通りにならないと、学校はさらに楽しくなくなります。なるほど、豊かさで元気、勉強はできてもライバルには気を許せない世界が現れています。
 一部の卓越した能力のスポーツ選手などを除くと、日本の教育は、勉強以外の趣味や個性的なものは余分と見なし、画一人間を養成しようとしているように見えます。周囲に合わない個性的な子どもはいじめの対象になりやすく、登校拒否や精神障害、自殺にもつながります。成長のアンバランスは教師から発達障害と見られかねません。
 両親の共働きや長時間勤務で家庭が形骸化し、友だちもいない。子どもたちが手近なゲームに熱中するのも当然かも知れません。
 今は楽しそうな孫たちですが、 5年先、10年先が心配になってしまいます。

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