医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2019年12月2日

(332)人生100歳時代の食べ方と生き方


 毎日のように喪中を知らせる葉書が届きます。多くは友人や知り合いの両親、取材先の先生方の訃報です。昔と違うのは80代後半から90代の方が圧倒的に増えたこと。100歳、102歳などもありました。まさに「人生100歳時代」の到来を実感します。
 兵庫県西宮市にある武庫川女子大学創立80周年記念として先月、東京で開かれたフォーラムの副題が「人生100歳時代の生き方上手」だったのを思い出します。家森幸男・同大国際健康開発研究所長の主催とあって参加させていただきました。
 家森先生には島根医大教授時代からずっとお世話になっています。脳卒中ラットの開発から食事と病気に関心を持ち、世界保健機関(WHO)の協力を得て、長寿地域を含めた世界61地域もの人々の24時間尿の分析から食物と寿命の関係を解明されました。その結果、魚と大豆の摂取が重要で、それが日本人の長寿の原因でもあると分かったわけです。和食の重要性も再確認できました。
 こうした成果を研究だけにとどめず、積極的に国民に知らせる活動をしたのが家森先生の偉いところです。メディアにいた私たちも協力しました。有名なのは「まごわやさしいよ」です。たくさん食べるべき食品として「豆、ゴマ、ワカメ(海草)、野菜、魚、シイタケ(キノコ)、イモ、ヨーグルト」を挙げたものです。
 フォーラムの基調講演で家森先生は魚と大豆を多く摂ると心筋こうそくや脳卒中、認知症の発生が減らせる一方で、食塩量が多いため、脳卒中後の寝たきりが増えることも指摘され、食塩減らしを加えた「食べ方上手」を訴えました。82歳の家森先生は元気の塊といった感じ。見習って、明日からはちゃんと食べようという気持ちになります。
 それにしても、先日は、年金後の2000万円問題が話題になりました。私は何となく自分は80歳ぐらいが限界と考えていたのですが、その先が10年、20年もあるとしたら、と急に心配になってきました。

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