田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(87)いじめ社会の日本の構図
いかにも日本、という感じがしました。沖縄県の翁長雄志知事が昨年末、上京し、政府の挨拶回りをしたところ、安倍首相や菅官房長官ら多くの政府要人が面会を断ったというのです。
学校のいじめでいう「シカト」でしょう。いわば、気に入らないと決めた人間は徹底して無視し、相手にしない。しかも、それを仲間全体で実行するのです。
その次が、嫌がらせです。靴を隠したり、机の中に死んだカエルを入れたりします。いじめられっ子を主人公にした小説では、同じ通学路を学校に通う時は、そのいじめられっ子に何人ものカバンを持たす、といったことも書かれています。
いじめに参加しない子どもがいると、その子もいじめの対象になります。皆はそれが怖いので、結局、学校全体がいじめる役に回ります。大抵は先生がまったく役立ちません。それらが長く続くと、いじめられっ子は絶望し、飛び降り自殺を図ったりします。
学校のいじめ対策が一向に効果を上げません。なぜならいじめは子どもの遊びの世界だけではなく、どの職場にもある日本の文化になってしまっているからです。社長が幹部を叱ると幹部は部下に当たり、部下は家に帰って奥さんをいじめ、奥さんは猫をけとばす、という漫画を思い出します。
今回も、政府が堂々といじめを行い、あからさまに示して国民に同調を促しているようにさえ見えます。米軍基地の辺野古移転が争点になった沖縄県では先の衆院小選挙区で自民党系の議員がすべて破れました。そのうえ、今回の知事選では、元々反対からようやく寝返らせた前知事が大敗したことへの腹いせなのでしょう。振興予算を減額するといった露骨なやり方が通用するから日本は不思議です。さて、 1月11日の佐賀県知事選では農協問題で政府と対決する知事が誕生しましたが、どうなるのでしょう。
日本の大部分の保守的地域では、地元のボスの応援する候補を応援しなかったり、批判的、革新的な言動の人は、異端者扱いになり、いじめの対象になりがちです。作家の松本清張さんが政府の勲章をまったくもらえなかったのは一貫して日本共産党支持を貫いたから、といわれていたのを思い出しました。