医療ジャーナリスト 田辺功

メニューボタン

田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2023年8月21日

(510)有機フッ素化合物で健康被害の可能性

 これまで知られていなかった公害物質による健康被害の可能性が高まってきました。PFAS(ピーファス)と呼ばれる有機フッ素化合物のことです。
 市民団体「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」と、京都大学の原田浩二・准教授グループはボランティア住民 650人の血液検査をしました。最初の87人分を今年 2月のこのブログで紹介しましたが、NPO法人「食品と暮らしの安全基金」機関誌 7月号に全員の結果が掲載されていましたので今回、追加報告させてもらいます。
 有機フッ素化合物は何と4700種類もあるそうで、水や油をはじく性質を利用して、衣類や紙などの防水、洗剤、半導体など多くの製品の製造工程で使われています。原田准教授らは特に毒性が強く、世界的に規制されている 4種類を調べましたが、ほぼ全員から検出されました。
 米国の学術機関は血中濃度が高いと健康被害のリスクが高くなり、脂質異常症や甲状腺病、潰瘍性大腸炎、乳がん、腎臓がん、精巣がんなどの可能性を指摘しています。この数値を 355人 (51.5%) が超えていました。また、独自の疫学調査から健康被害を警告しているドイツ環境庁専門委員会の数値も55人 (8.5 %) が超えていました。
 住民の平均血中濃度は同じ多摩地域でも市町村でかなりの違いがありました。特に高かったのは国分寺市と立川市で、武蔵野市、あきるの市などが高く、低かったのは八王子市でした。
 主たる原因は水道水の汚染です。米軍横田基地により地下水が汚染された可能性が高く、基地の下流地域の住民の血中濃度が高い傾向があります。ただし、多摩地域にはPFASを使う半導体や電子部品工場もあり、これらも汚染源になっている可能性もあると、原田准教授は指摘しています。
 各地の汚染具合はどうなのでしょうか。血中濃度が高い住民の健康も気がかりです。ボランティア任せではなく、米国やドイツに習って政府や自治体が対応すべきではないのでしょうか。

トップへ戻る