田辺功のコラム「ココ（ノッツ）だけの話」

（５０７）驚きあきれたビッグモーター事件

　今回の事件でビッグモーターという会社を初めて知りました。自分が運転しないこともあって、中古車を見たりすることがありませんでしたから。中古車販売の大手に育つような会社が信じがたい不正をしていたのに驚きます。
　ビッグモーターは販売、買い取り、修理、損害保険、車検など中古車が絡むサービスをしています。それらのなかで問題になったのが保険金の水増し請求です。告発を受けて同社は今月18日、自社調査結果を公表しました。それによると、昨年11月からの保険金申請8427件のうち、15.1％1275件で不適切な行為があったとのことです。事故車を修理する時に車に傷をつけたり、不要な修理や塗装をしたり、不要な部品交換をしたりして保険金を水増し請求していました。わざと傷をつけて修理箇所を増やして売り上げを増やすとは信じられないほど悪質です。保険会社の支払いが増えたのは当然ですが、車の持ち主の保険金もその後は高くなってしまいます。　

　これらはひそかな告発があった後の時期なので、少な過ぎるとの判断があったのでしょう。損害保険会社は第三者機関のより正確な調査を求めています。これらの不正行為は20年以上前から行われていたといわれています。同社の整備工場では2021年に約4万5千件もの修理をしたそうです。おそらくは保険・修理以外でも不正はあったのでしょう。その全容をぜひ知りたいものです。
　同社では会社から工場に厳しいノルマが課せられ、達成できない時は工場長が降格されたりしました。先日の会見で、社長 (この事件で辞職したので今は前社長ですが) は「経営陣はまったく知らなかった」と弁明しましたが、これほど大がかりなごまかしを経営陣が知らないとは考えられません。命じられたとしても、だれでも分かるようなごまかしをした職員も不思議です。
　ビッグモーター社の店舗前では公道の街路樹や植栽がなくなっていることも話題になっています。出入りに邪魔だと切ったり、除草剤をまいたりしたようです。国や自治体が管理している植物を勝手に処分することを何とも思わない会社です。