田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(375)コロナ対応でも質の維持を
新型コロナのおかげで、会議や勉強会のほとんどが中止になっています。さすがに全部取りやめでは、とその一部が最近、オンライン化になっています。古い世代(私ですが)は何となく頼りない気持ちになります。
先日参加したオンライン勉強会の講師は新宿ヒロクリニックの英 (はなぶさ) 裕雄先生でした。スタッフ 160人で内科、リハビリなど 5科の診療で、在宅医療にも積極的です。外国人が 4割の地域なので中国、ベトナム、ネパール人職員もおり、患者の 2割は外国人だそうです。新型コロナの影響は 2月末から。 4月はスタッフ、勤務医が少なくなり、患者も減少、様々な対応を迫られました。消毒薬、手袋、マスク、エプロンなどどう使うか、往診用のセットの中身、検査キットなど工夫を重ねました。使い回しを避けるため、全職員への携帯電話、イヤホンマイク、パソコンなど設備の充実も必要になります。
オンライン診療開始、対面診療の短縮、診療は 3科に減らし、感染予防策も徹底しました。「訪問しない在宅医療」「来院しない外来医療」も心がけました。ひんぱんな来院が当然だった従来の医療のやり方が、コロナのおかげで一変する可能性もあります。また、主治医や担当医制などはやめ、全員で患者全員にかかわるように変えました。結果的に売り上げは落ちたものの職員減で人件費も減り、効率化も図ったことから、収支のバランスも保てています。
新型コロナへの対応は医療関係者全体が協力しあうべきだとして新宿区の医師、歯科医師、薬剤師、介護関係者などが参加する新型コロナウイルス対策医療介護福祉ネットワークが結成され、英先生も参加しています。
最先端の現場の努力は勉強会の参加者にとって予想以上でした。私が一番気になったのはオンライン診療化や対面診療の短縮で、医療の質が保てるか、でした。英先生は「その懸念は感じました。大きな課題でしょう」と話されていました。もともと熱心でない医師がオンラインで、となると心配が増しますね。