医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2020年10月5日

(374) 開発が待たれる新型コロナワクチン

 新型コロナで明け暮れる毎日です。飲食店、宿泊施設、交通機関、観光施設など、どれもがアップアップ状態です。先月も書いたことですが、これほど経済や生活環境を深刻化させるとは、まさに「想定外」の驚きでした。理想の就職先は大手企業や官庁、教職だった私らの世代と違い、若い人たちは新規アイデアによる起業、自由な営業職が最も働きがいのある職場になっていたのではないでしょうか。コロナウイルスはそうした意欲的な若い人たちをより苦しめそうです。
 今回、米国のトランプ大統領夫妻が感染したとのニュースにもびっくりです。英国の首相も危ない状態から回復しましたが、70代の大統領だけに生命の危険もゼロとはいえません。死者も世界で 100万人を超し、年間 150万人の結核に並びそうです。このような感染症を抑えるとしたらどうしてもワクチンが必要です。
 各国ともワクチン開発企業に期待し、支援しています。米モデルナ社のワクチンはすでに後期の臨床試験中とのことです。トランプ大統領は承認条件を緩めることも示唆し、大統領選に間に合うよう「早ければ10月にも」とせき立てていましたが、さてどうなることでしょうか。
 どんな薬にも副作用があります。治療目的の薬は熱が出ようが、気持ちが悪かろうが、痛みやひどい症状が改善すれば合格です。しかし、予防のため、何の症状もない人に投与するワクチンは、安全で全く副作用がないのが理想です。コロナウイルスは変異しやすいので、特効薬もすぐに効かなくなる可能性があるうえ、ワクチンとなればさらに難しい。WHO(世界保健機関)が企業に慎重な対応を求めるのは当然です。
 薬害大国の日本では薬の副作用に敏感です。そのせいもあり、日本では効き目より副作用が重視され、副作用も効き目も乏しい薬が多かった時期もありました。ワクチンでは発熱なども嫌われ、今でも一部の国産ワクチンは欧米のワクチンに比べて副作用が少ない分、効きが悪いとの専門家の指摘もあります。接種後に重大な副作用が出たケースがあったことから、日本の子宮がんワクチン接種率は世界で最も低いままです。
 コロナワクチンが日本で普及するのは何年か先のことでしょう。その前の自然収束を願うしかありません。

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