医療ジャーナリスト 田辺功

メニューボタン

田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2020年7月20日

(363)コロナで深刻、医療現場の嘆き

 新型コロナウイルスのおかげで医療の現場は深刻な影響を受けています。先週 7月14日に東京で開かれた外保連 (外科系学会社会保険委員会連合) の記者懇談会では、診療科の違う6人の先生のどの報告からもそれが感じられました。
 日本外科学会の池田徳彦コロナウイルス対策委員長は外科の取り組みを話しました。患者の咳で出た新型コロナウイルスは 3時間ほどは空中を漂い、プラスチックや金属表面では72時間ほど生存する可能性があります。今回、外科医は手術の実施か延期か、術後の患者や医療従事者の感染防止などに悩まされました。急を要するかどうかで選別、世界的には手術の7割が延期されました。また、日本は患者が感染しているかどうかを調べるPCR検査が少なく、検査体制の確立が急務になっています。
 コロナ感染者は喉の痛み、咳、鼻汁、味覚障害などから耳鼻咽喉科を受診することが多く、中国や英国で最初に犠牲になった医師は耳鼻科医とのことです。危険が高い鼻や喉の手術が激減し、耳鼻科は小児科に次いで外来患者も激減しました。感染防止の防護具の負担も大きいと、日本耳鼻咽喉科学会学術委員会の木村百合香医師は訴えました。
 日本心血管インターベンション治療学会の伊苅裕二理事長によると、日本の心筋梗塞死亡率が世界で最も低いのは風船付きカテーテルで血管を広げる冠動脈ステント留置術のおかげです。ただし、発症12時間以内に来院し、90分以内の治療と一刻を争います。数時間かかるPCR検査を待つことができず、感染防止には手術用マスクやガウン等の防護具が不可欠です。しかし、どの病院も防護具は十分とはいえず、ステント留置術の実施が難しくなりつつあります。
 新型コロナのおかげで消毒や感染防止が不可欠になり、外科医の負担も増して手術は難しくなり、大きく減って病院経営にも影響が出ています。防護具も不十分で医療従事者のストレス、そしてかかるコストも無視できません。コロナのおかげで廃業危機の飲食店、観光業も気がかりですが、医療はより重要な生活の基盤です。厚生労働省はもっと支援すべきだと思いました。

トップへ戻る