医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2020年2月26日

(343)クルーズ船客への日本的対応

 新型コロナウイルスは症状の強さはともかくも、感染力はなかなかのものです。毎日毎日、北海道をはじめ日本各地に患者・感染者が広がっています。当初は中国・武漢市と関連あったのが、どんどん間接的になり、やがてどこからウイルスを得たかが見当つかなくなってきています。
 横浜港に停泊中のクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号も連日、興味深いニュースを提供しています。海外メディアではかなりの悪口も書かれたようでした。検査で陰性とわかって2週間後に下船、は日本以外の国には通用しませんでした。米国などはさらに2週間の隔離必要と判断しています。実際に帰国後に感染者が出ました。災害医療派遣チームとして船内に入った感染症専門の岩田健太郎神戸大学教授は感染対策を「悲惨な状態」と表現しました。ウイルス排除区域はなく、患者が何人も出ている職員仲間が食事を運んできて、乗客はまあ気をつける程度の対応です。同じ日に全員を検査すればいいのに、数を多く見せないため一部ずつくり返したのでしょうか。船室は隔離施設ではないので、検査した翌日、翌々日に新たに感染しても不思議はないわけです。2月11日、12日から船内で作業をした厚生労働省と内閣官房の職員が感染しました。ウイルスが船内にうようよしていることの証明です。
 2月19日からは待機期間がすぎた船客の下船が始まりました。バスで横浜駅などへ送り、後は交通機関で自宅に帰ってもらうとのことです。検査日以降の船内での感染はない、との前提です。各国は驚いたでしょうね。
 あその翌日、厚労省は、クルーズ船の船客で、10日ほど前に搬送されていた80代の男女が入院中の病院で亡くなったと公表しました。
 電車内は7、8割がマスク姿です。中国はマスク大不足、日本も品薄とか。マスクで外からのウイルスが防げるわけではないのですが、まあ気は心、の類でしょうか。帰宅後の手洗いの方が大事です。
 いろんな行事が中止になっています。そのうちの神風頼みか、夏になると風向きを急変させるのも日本的かも知れません。

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