医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2015年6月8日

(107)川崎病の勢い、ますます強く

 
 原因不明の小児の病気・川崎病の勢いがますます強くなっている印象です。先週 6月 6日の土曜日に、特定非営利活動法人日本川崎病研究センターの総会および研究報告会が開かれました。理事長である川崎富作先生は 2月に満 90歳になられましたが、元気そうで、顔なじみの私たちを安心させてくれました。治療法も安定し、死亡率が低くなって、川崎病が新聞やテレビに登場する機会も減りました。今も関心を持っているのは昔から取り組んでいた医師や家族、メディアの人たちが多く、センターの総会は、何だか同窓会のような雰囲気があります。
 川崎病は 5日以上の発熱、全身の発疹、目が充血、手足がむくみ、手の皮がむける、といった特徴のある病気で、54年前の1961年、日赤医療センター小児科の川崎さんが気づきました。ピークが 0~ 1歳で、大部分は 3歳未満で発病しています。心臓の冠状動脈にコブができ、突然死する子どもがあることがわかり、急増した年には親はパニックになったものです。79年、82年、86年に突出した大流行があり、82年の大流行時、私は、日本心臓財団と協力し、研究者を動員した原因究明委員会を提案、裏方を務めましたが、原因を解明できなかったことが今も心残りです。
 90年に川崎さんが定年退職され、川崎病の資料集めや原因解明のための研究助成をするセンターができました。川崎病はなぜか日本に集中しています。流行ぶりから細菌やウイルスの感染症が疑われますが、依然、原因不明のままです。
 総会では、助成した研究の報告があります。今年は血中物質の分析、カンジダ菌との関係などの結果が報告されたものの、前途多難の印象でした。 2年ごとに行われている患者調査は集計中ですが、13年、14年の 2年間に 3万1000人余りで、これまでの記録更新は確実のようです。子どもの数が減っているのに、川崎病の患児が年々増えているのは驚きです。原因は必ずあるはずなのですが。           

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