医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2023年12月4日

(523)子どもの視力低下は心配

 「子どもの視力低下止まらず」との記事 (11月29日『朝日新聞』) が目を引きました。文部科学省が公表した2022年度の「学校保健統計調査」です。全国の国公立の幼稚園と小、中、高校を対象に1979年から始まった調査ですが、裸眼視力1.0 未満の生徒は小学生 4割、中学生 6割、高校生 7割と学年が進むにつれて増え、いずれもこれまでの最高になったとのことです。
 文科省のホームページによると、全国の幼児、児童、生徒の健康診断から一定方法で抽出した 322万人分 (約4 分の1)の調査です。裸眼視力1.0 未満の生徒は小学生が37.9% (79年は17.9%) 、中学生61.2% (同35.2%) 、高校生71.6% (同53.0%) ですから、この40年間に視力の低下は確実に進行しています。児童は25.0% (同16.5%) ですが、2008年28.9%などもっと多かった年もありました。
 文科省はスマホやタブレット端末の利用時間の増加が大きいと見ています。小学校の 9割、中学校の 8割が週に 3日以上、パソコンを授業に活用しているようです。
 私は以前から孫たちの目を心配していました。小学生と保育園の 2人はわが家に来るとすぐにパソコンでのゲームに熱中、 2時間、時には 3時間も続けます。テレビもよく見ていて、気づくと画面のすぐ近くに寝ころがって見ていたりします。注意はするのですが、あまり効果はありません。学校での授業よりは家庭での見すぎが視力低下を招いているのでは、という気がします。
 一方で、同じく学校保健統計調査で虫歯のデータを見ると、幼稚園が24.9%、小学生37.0%、中学生28.2%、高校生38.3%でした。50年近く前の1970、80年代はいずれも90%台だったと聞くと激減ぶりに驚きます。歯科教育、家庭での歯みがきの効果でしょう。

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