田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(518)増え続ける不登校といじめ
「不登校」の児童・生徒の増加が止まりません。文部科学省が10月4日に発表した2022年度の全国調査です。
30日以上休んだ不登校の小中学生は29万9048人で、前年度の24万4940人から 5万4108人も増え、過去最多になりました。在籍者の3.2% (前年度は2.6%) になります。
文科省のホームページを見ると、不登校の原因は、小学生は・無気力・不安50.9%・生活リズムの乱れ・遊び・非行12.6%・親子関係12.1%・友人関係 6.6%、の順でした。
一方、中学生は・無気力・不安52.2%・生活リズムの乱れ・遊び・非行10.7%・友人関係10.6%・学業の不振 5.8%でした。小中学生とも無気力が過半数、続いて生活の乱れが多く、小学生は親子・家庭環境、中学生は友人関係が重要でした。小中学生の38.2%は学校の内外で相談や指導を全く受けていませんでした。
一方、「いじめ」の認知件数は小学校が55万1944件、中学校が11万1404件でいずれもこれまでで最多でした。小学校は1000人あたり89件、中学校は34件になります。このうち重大な被害が生じた疑いがあったり長期欠席になった「重大事態」は 764件で、前年度の 591件を大きく上回り最多でした。
調査結果をもとに文科省は10月17日、「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を発表しました。不登校の児童生徒に学べる場を設置、オンライン学習の環境も整備し、だれもが安心して学べる取り組みを強化します。また、不登校およびいじめ被害者など困難を抱える子どもを支援するための専門家の支援、相談窓口の設置、課題を抱える学校へのスクールカウンセラーなどの配置、いじめの重大事態の防止や分析も強化します。国はこうした方針を都道府県教育委員会などの関係者に伝え、取り組みを要請しました。
実は昨年11月の前年度調査時でも書いたのですが、かつては登校は子どもの仕事でもあり、楽しみでした。しかし、今はゲームやネット動画などに熱中して寝坊や体調不調、親も子ども任せの風潮が強くなっています。友だちも作れず、いじめもあります。学校が面白くないので 1度休むと抵抗はさらに少なくなります。
学校をもっと楽しくすればと思うのですが、先生方は雑務に追われて子どもたちと過ごす時間も減っているようです。文科省の緊急対策の成果を見守りたいものです。