医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2023年10月2日

(515)障害者や介護者助ける福祉機器

 9月27日から29日まで、東京ビッグサイトの国際展示場で今年の国際福祉機器展が開かれました。私は28日の午後、3 時間ほど会場を回りました。
 最初に「福祉機器開発最前線」コーナーに足を運びました。ここには主催者が選んだ10社の製品が展示されていました。素人に分かりやすかったのは「見える補聴器」(スパシアル社) です。双眼鏡のようなスマートグラスをかけると説明員の話がすぐに下方に文字で出てきます。外国映画の翻訳の字幕のようです。
 重症心身障害児用の会話補助装置「以心伝心」 (志エンボディ社・愛媛大学) にも注目しました。家族や特別な支援者でないと理解できない意思を、内容を登録しておいたスマホで表現します。障害児が選べるような特殊な技術の活用です。
 展示会場は参加企業・団体約 380社1000点以上の介護、リハビリ製品であふれていました。いいなと思ったのはシャワー入浴装置(エアウォーターメディカル社)です。ストレッチャーに寝かせたままの患者を入れ、周りの16ものノズルからシャワーを全身に当てます。浴槽並みの温まりで、大幅な介助負担減になります。

 「AIカメラによる介護サポート」(東電タウンプランニング社)はAI(人工知能)の活用です。安全管理目的のほか、家族への映像配信もします。「AIが代わりに介護記録」(トライト社)は職員が部屋を移動するとスマホに自動的に記録され、自然に介護記録ができ上がります。記録業務が楽になります。似たようなAI製品が他にいくつかありました。

 「スピーチキャンバス」 (フィート社) は聴覚障害の人と筆談、音声で会話できるものです。音声は画面で文章になり、障害者はその画面に指で答えや質問を書けます。「こえとら」(同)はそのスマホ版。聞こえにくい人の電話を助ける「字幕電話」 (アイセックジャパン社・ネクストジェン社) はスマホなどに相手の話を文字化してくれます。「見える補聴器」と合わせ、聴覚障害の人はずいぶん助かるはず、と思いました。
 障害ある人を助ける補助犬(聴導犬、盲導犬、介助犬)コーナーがあり、実演もあったようです。その他、住宅から車、家具や、リフト、入浴や食事用品まで、より便利な製品を開発したいとの日本企業の努力を頼もしく感じました。

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