医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2023年2月13日

(485)実は少子化推進策だったりして

 岸田首相が突然言いだした「異次元の少子化対策」に注目しています。児童手当の拡充策として所得制限を撤廃することが目玉のようです。
 子どもを育てている家庭は何かと出費が多く、児童手当はその経済的支援策です。子どもが中学校を卒業するまで月 1万円または 1万 5千円を支給しますが、おそらくは税金を他用途にまわすためでしょう、昨年10月からは所得額に応じて月 5千円の減額支給、または無支給になりました。
 英独仏スウェーデンなど欧州各国の児童手当には所得制限がありません。子どもの経費は多少の所得差では変わらないと見なしてのことです。日本は手当そのものがない米国より良いとしても、減額・無支給はもう 1人子どもを欲しいという気持ちを抑えるのではないでしょうか。少子化促進につながる政策はやめ、所得制限を撤廃し、金額も増やしたらいいと思います。
 「私は社会全体からいじめられています」と発言した女性がいました。小学生、保育園の子ども 3人の母親です。彼女によると、日本社会は夫婦と子ども 2人が標準。それを外れて 3人目ができると急に大変になりました。
 まず旅行・宿泊です。飛行機も鉄道も「大人 1人に子ども 2人」まで無料でも 3人目は有料です。彼女の住む地域のバスもそうです。ホテルの部屋は広くても子ども 3人だと 2部屋を求められます。ネット予約で「大人 1人子ども 3人」と入れると空きはゼロ。夫婦揃っての旅行・帰省しかできません。
 ベビーシッターが世話するのも子ども 2人が限度が多く、 3人だと「シッター 2人が必要」、さらには「同時間に 2人派遣は無理」と断られます。
 コロナ前から市町村によってはプールや児童館の利用も「大人 1人につき子ども 2人」が原則だと断られたこともあります。双子ともう 1人を持つ友人は双子用の乳母車でも苦労をしていました。「日本政府も社会も『子どもは 2人まで』の少子化促進策を進めているとしか思えません」と彼女は断言するのです。
 若者の給料が上がらず、就職も不安定で独身率が高くなっています。実はそれも政府の意図的な少子化促進策だった、ということはないのでしょうね。

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