医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2020年12月21日

(385)コロナで医療制度の見直しが必要

 新型コロナウイルスのおかげで各地の医療が破綻寸前の状態になっています。2 つの病院で 200人前後の感染者が出た北海道・旭川市には自衛隊の応援部隊が派遣されました。
 効果があってひとまず改善したようですが、感染者が増えている状況下では、同じような危機はどこででも起きる可能性があります。
 病院職員の奮闘、苦闘ぶりをテレビで見て、胸がつまります。密閉度の高い防護服で動いていると汗びっしょり。重症の高齢者は看護師が 3人、4 人がかりで動かしています。
 ウイルスの感染を恐れながら、防ぎながらというとぎこちなくなります。十分にできていないとの思い、床ずれも悲しい。ひんぱんな消毒、さらにコロナ病棟の清掃は業者にまかせられないと看護師がするなど仕事も増えています。当初は自分の診療科は関係ないと思っていたら患者減で縮小、コロナ病棟に応援に出された看護師さん。「お母さん、大丈夫?」と不安がる娘に不安が募ります。
 わが娘のご亭主は救急医でコロナ担当。夜勤が増え、10カ月にもなると、さすがに疲れ気味です。病院では看護師が何人も辞めたそうです。感染の恐怖、過酷な勤務だけでなく、子どもや親の世話が従来通りにいかないことも大きな要因です。看護師の勤務変更、関連病院への応援要請、医師もできるだけ手伝うなど現場はてんやわんやの様子でした。
 私はめったに行かないのですが、家内は週 4日は娘家族の手伝いです。コロナが私のところまで来ないようにと願っています。
 消毒や器具の負担増、さらにその何倍もの従来の診療や手術減の影響で、医療現場の経済的な困窮も深刻です。仕事は多忙、過酷になったうえ、病院収益も大きく悪化したから給料もボーナスも減らす、などといったことが起こりうる制度が問題です。高齢者が増えると医療費が増える、医療費を減らすのが政府の仕事、といった近年の政策は、コロナのおかげで見直さねばなりません。飲食店、観光業も気がかりなのは理解できますが、医療はより重要な生活の基盤なのですから。

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