田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(120)病院の消費税の不合理
しばらく留守にしていたので、東京の新聞は読んでいませんでした。数日後の土日、留守期間の新聞を大急ぎで読みました。「五輪エンブレム」など沖縄のテレビで見たニュースは別にすると、古巣の『朝日新聞』が病院の消費税を大きく扱っているのが目立ちました。8月24日付けの経済面「にっぽんの負担」「病院経営『8%』ショック」は、丸々1ページを使った特集記事です。
病院が仕入れる商品には消費税がかかります。消費税は最終的には最後の消費者が負担する仕組みですが、保険医療費は非課税なので患者に負担が行かず、病院が負担せざるをえない状況になっています。政府は共通の診療報酬でその分を埋めるとの建前ですが、購入費や建設費の大きい病院ほど大赤字になっています。記事では病院や介護施設が、赤字穴埋めのため、徹底した節約、職員給与下げ、職員減らしをしている実例を紹介、同じ事情なのに、国がその分の税金を還付している輸出企業との差を指摘しています。また、28日付け総合面には国立大学付属病院の14年度決算が赤字で、原因は消費税増税とのニュース「消費増税国立大病院が赤字84億円」も載りました。
病院の消費税がひどいのは事実で、私も何度か、新聞や雑誌に書かせてもらいました。しかし、財務省は改めず、また、病院団体も抵抗しきれずに、すでに26年もうやむやの状態が続いているのですから驚きです。病院や施設ごとに違う費用をまったく無関係、一律の診療報酬の加算では、どうやっても解決できません。その分を還付するか、医療費も課税にするかしか方法はありません。だれでもわかるインチキが国政の場で堂々と通っているのは国際的にも恥ずかしいことです。
還付制度からすると財務省は、輸出企業は重要だが医療機関はどうでもいい、と考えていることが明らかです。富裕層や大会社優遇の税制をはじめ、国政や税制は本当のところ、決して国民に公平とはいえないのですが、それにしてもこれほど歴然とした差別が放置されているのは異常です。