田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(104)戦争する国にはならないで
自衛隊の活動の枠を大きく外す法案が国会に提出されました。昨年からの「集団的自衛権」をめぐる政府の方針転換の最終段階です。ジャーナリストの端くれとして、声高に発言しなければいけないだろうかと思いつつも、以前にも告白した通り、知識の乏しい分野で、依然としてよくわかっていないのが本当のところです。
昨年夏、安倍内閣は「集団的自衛権」行使の容認を決めました。その後の安倍首相の「我が軍」、菅官房長官の「自衛隊は軍隊」発言です。「武力の行使は…永久に放棄する」「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」との憲法の条文を内閣が勝手に否定してそのまま通っているのも不思議です。「どうせ憲法の条文は近いうちに変えるので、もう意味がありませんから」というのは順番が逆とかいいようがありません。
国の方針を決めているのは実際には官僚と政治家です。その多くが戦争好きなのでしょう。二世、三世政治家の父や祖父は敗戦のどさくさで財産や権力を築いたので、戦争さまさまです。敗戦からもう71年。若い世代は、戦争といえばパソコンの戦争ゲームで、むしろカッコいいと思いがちです。この点は官僚や政治家に限らず、国民共通かも知れません。世界中で戦争を展開している米国と、日本のエリート層は親密で、米国の言いなり。米国の軍事費減らしに日本はもっと協力すべし、との考えもあります。日本の国防費は、落ちたといえ世界第9位の巨額です。軍事産業からの分け前も断れません。
肝心の政治家がいい加減なのですから、法案の国会審議も期待薄です。法律が成立すれば、ある程度は国会が自衛隊の行動を規制できることになっていますが、近年の内閣と国会の力関係からするとそれも無理のようです。
橋下徹・大阪市長の「大阪都構想」は昨日の住民投票で、反対票が上回り、否決されました。あまりにも急進的な改革で、憲法改正賛成まで進む橋下さんに不安が高まったようです。同じような安倍さんへの不安から、国民がノーと言えればいいのですが。