医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2014年9月29日

(76)報復戦争の拡大に不安

  拡大する一方の戦争にはうんざりしています。人間はどうしてこんなに戦争が好きなのでしょうか。戦争は犠牲者の遺族を生み、報復、その報復と際限なく続きます。
 イスラム教過激派組織「イスラム国」がイラクやシリアで急激に勢力を強めているそうです。両国とも政府が弱体で対応できないことから、米国は 8月にイラク国内のイスラム国拠点の空爆を開始しました。さらに 9月にはサウジアラビアなどいくつかの国にも協力をさせ、シリア国内の拠点も空爆も始めました。再び、中東をめぐる戦争です。
 オバマ米大統領によれば、空爆は米国人を守るためです。イラクやシリアには米国の軍人がいますが、もともはよその国。欧米でのテロを計画している過激派の存在そのものを許せないとの説明もありました。大統領になるような人はやはり戦争好きなのです。
 「世界の警察官」を演じる米国は、世界のどこでも敵を攻撃しています。2001年の「9・11事件」は世界を震撼させたテロでしたが、米国はその報復としてアフガニスタンとイラクを攻撃しました。その結果、ニューヨークで亡くなった人の何倍、何十倍もの犠牲者が出ています。米国の反イスラム思想に呼応し、イスラム系民族には反米思想が高まっています。「イスラム国」も米国が崩壊させたフセイン政権の残党が関わっています。
 アラブ・イスラエルの対立も考えると、世界は年々、危険な状況になっていると感じます。米国は国連で、イスラム国の壊滅を訴え、イスラム国は敵対国の国民へのテロを勧めるような宣伝をしています。
 毎日の食物にも事欠く貧困、強国による収奪、格差などが戦争の大きな原因になっています。軍人が幅をきかせる強国は、根本に目をむけず、豊富な武器で制圧を図ります。憲法第9条を持ち、「戦争をしない国・日本」こそ、本当は報復戦争では得られない解決をめざすべきなのでしょう。しかし、運悪く右寄りの安倍政権の時代。ひょっとして、すでに「戦争をしたい国」になっているかも、の懸念さえあります。米国との関係から、こうした敵対関係に巻き込まれるのを心配しています。

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