医療ジャーナリスト 田辺功

メニューボタン

田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2015年3月30日

(98)「戦争する国」への不安

 
 昨年から各新聞には「集団的自衛権」の記事が、これでもか、というくらいあふれていました。国会でのやり取りをもとに、いろんな識者が意見を述べました。私も読むことは読んだのですが、仮定の議論が多いし、知識も少ない分野なので結構難しく、あまり関心を持てないままだったというのが正直のところです。
 結局、安倍内閣は昨年夏の閣議で「集団的自衛権」行使の容認を決めました。他国が攻撃を受け、日本の国益が損なわれるような場合は、日本も武力で反撃できることになるそうです。「武力の行使は…永久に放棄する」「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と憲法にあるにもかかわらず、です。
 さらに進んで、つい先日の安倍首相の「我が軍」発言には驚きでした。すぐに菅官房長官は「自衛隊は軍隊」と容認しました。自民党政府は昔からの「自衛隊は軍隊ではないから憲法第9条に反しない」との言い訳を捨てての開き直りです。
 英国のシンクタンク国際戦略研究所によると、2014年の国防費支出で日本は世界第7位の軍事大国です。①米国5810億ドル②中国1294億ドル③サウジアラビア808 億ドル④ロシア700 億ドル、そして⑤英国⑥フランスに次ぎ、日本は477 億ドルでした。
 まあ、いまさら自衛隊が軍隊ではない、と信じている日本人はほとんどいないのが実情でしょうが、急に戦争の足音が近づいてきた気がします。
 突出した軍事費でわかるように、米国は世界一の「戦争国家」です。世界中に軍隊を送って戦争を仕掛け、空襲で一般の人々も犠牲にしています。強力な軍隊があるほど戦争をめざすことはこれまでの世界の歴史が示しています。安倍首相はその米国に協力し、日本を「戦争する国」にしようとしているかのようです。
 私は大学は工学部航空学科を卒業しました。「なぜ新聞記者に?」とよく聞かれたものです。本当は宇宙に関心があったのですが、成績が及ばず、飛行機止まりでした。いざ就職、の時に、航空関係企業の多くは軍事産業であることに気づきました。
 私の家族は2度、横浜と富山での空襲を体験しました。母親はいつもその話をしていましたから、私は戦争に関わるような仕事だけはしたくないと思っていました。
 それにしても、戦争好きな日本人が、いつの間にこんなに増えたのでしょうか。

トップへ戻る