田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(82)さあ、とにかく総選挙です
体調不調でしばらく休養していました。その間に、ささいな解散風が竜巻のように急に大きくなり、何が何だかわからないうちに衆議院が解散、師走の総選挙になってしまいました。まだ半分の任期を残した段階で、どうも実感がわきません。安倍首相は「アベノミクス解散」と呼んでいるようですが、野党などからは「独りよがり解散」「大義なき解散」「今のうち解散」などとも呼ばれているようです。
解散・総選挙は昔から新聞社にとって最大のイベントでした。政権が変わり、大臣も、政策も変わるのですからニュースの種だらけです。政治、経済、社会などの主流の部は選挙は大歓迎でした。記者にとって腕の見せどころでもあります。安倍首相が外遊中に、解散風が首相に近い読売新聞から吹き始めたのも何となく納得です。2 年後にするよりもトクとの読みは目先の利益優先の時代らしい選択です。
総選挙の争点がはっきりしないとの新聞記事があふれています。しかし、かつても総選挙にそんなに争点があったでしょうか。思い出すのは2005年、小泉内閣での「郵政解散」ぐらいです。ワンフレーズでわかりやすかった小泉首相でしたが、逆に1つの争点でほかの諸々の問題が隠され、国民はごまかされたとの印象がぬぐえません。
今回の解散も、争点によって印象が変わります。「消費税延期」の賛否だと自民党が圧勝しそうですが、「政治とカネ」「原発再稼働」「憲法改正」では、自民党の議席は減りそうです。1点強調で勝てば、後は全部認められたことにする、というような小泉流のやり方はやはりおかしいと思います。
総選挙の争点は常に「政権をこの調子でこのまま与党に任せてよいか」であるはずだと思います。政治とカネも、軍事も、経済も、議員定数問題もひっくるめて、国民が安倍政権を信用するのかどうかを問う選挙です。米国の中間選挙はたいていは自信過剰の大統領へのブレーキ役を果たします。前々回は民主党への期待、前回は口先だけの民主党への失望、と日本の総選挙もそれに似ています。さて今回はどうでしょうか。12月14日の結果が楽しみです。