田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(526)またも自動車メーカーでの不正
トヨタ自動車の子会社で小型自動車メーカーのダイハツ工業の不正が大ニュースになっています。同社は12月20日、64車種と 3種類のエンジンの認証試験で新たに 174件の不正が行われていたと発表しました。同社は今春に 6車種の認証に関しての不正を発表していたのですが、実はその何倍もあったのです。同社は全車両の出荷を中止しました。
トヨタグループでは昨春、日野自動車がトラックエンジンの排気ガスや燃費の性能試験の数値を書き換えたりしてごまかしていたことが発覚しました。今回のダイハツ工業の不正は1989年からで、2014年以降に急増したとのことですから、昨年は知らん顔、今年も不正を続けていたと言うから驚きです。
日本を代表する企業のトヨタ自動車は、部品などの在庫などムダの徹底排除による利益率向上で有名ですが、系列子会社への圧力も強かったようです。ダイハツ工業も新車の短期開発が求められ、最終段階の認証試験も短く済ます必要があったのです。
自動車会社の不正は前にもあったと思い、ネットで調べると、2018年には日産自動車、2016年にはルノー・日産グループの三菱自動車でも試験の不正が報道されていました。
電話してきた友人に「自動車会社は困ったもんだ」と話したら「何言ってんだ。土木建設も機械メーカーも同じだったろうが」と笑われてしまいました。
そうでした。ごまかしに限らず工程ミスも含めて日本製品の品質トラブルが多発しています。電気や通信、コンピューターなどの最新技術が衰退し、高品質の「メイド・イン・ジャパン」は伝統工芸品ばかりになってきています。平均賃金はOECD34カ国中の24位、非正規雇用が増え、企業や国の研究費も減る一方と聞きます。
「何とかしなくちゃ」「そうだよね」と高齢者同士でうなづきあいました。来年はどんな年になるのか、つい心配してしまいます。