医療ジャーナリスト 田辺功

メニューボタン

田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2023年9月19日

(513)また車内置き去りで 2歳児死亡

 先週のニュースで衝撃的だったのは、またまた起きた車内置き去り事故でした。
 9月10日、岡山県津山市の駐車場の車の中で 2歳の男児が亡くなっていました。53歳の女性の車で、男児は女性の長女の子ども、つまり孫でした。
 介護助手の女性は近くに住む娘宅に男児を迎えに行き、保育園に届けるはずでした。ところが、「考えごとをしていて、孫を乗せているのを忘れていた」とのことで、そのまま勤務先の病院に行きました。約 9時間半後の午後 5時40分ごろ、帰ろうとして、運転席の後のチャイルドシートでぐったりしている男児に気づきました。屋根のない駐車場で、津山市は最高気温31.7度の日でした。男児は正午ごろ熱射病で亡くなったと見られます。
 昨年 9月、幼稚園の送迎バス内で亡くなった 3歳女児の事件を思い出します。運転者も付添い職員も取り残しに気づかず、幼稚園は女児の欠席を親に確認しませんでした。その後は徹底されたはずなのに今回も保育園は確認を怠りました。連絡があれば娘は病院に問い合わせ、女性は孫を車に置いたままと気づいたはずです。本当のところ、全国の保育園や幼稚園の何割がちゃんと確認をしているのでしょうか。
 しょっちゅう保育園への送りをしているはずの女性は何を考えていたのでしょうか。おそらくは重症患者のことか、ギリギリの介護のやりくりか。途中で 1度も孫のことを思い出さなかったとしたら、仕事に追いまくられていたのでしょう。全国的な介護職員の不足は深刻です。そして、車に戻って孫を見た時の女性の驚きです。
 どんな事故事件であれ、親にとって子どもの死は一生忘れることのできない悲劇です。しかも、原因が自分の親だったとは。そして、孫を死なせた祖母の気持ちは。家族の先行きも心配です。
 警察は女性を過失致死の疑いで逮捕しました。近年はなぜか、故意ではなく、証拠を隠すはずもない事件での過剰な逮捕が増えている気もします。

トップへ戻る