医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2023年1月26日

(482)鳥インフルどうにかしないと

 高病原性鳥インフルエンザの流行が止まらないようです。今年度は23日までに25道県64の養鶏場などでウイルスによる感染死が確認されました。感染した養鶏場のニワトリ (ごく一部はアヒル、アイガモ) はより広範な広がりを抑えるためにことごとく殺処分されます。その数が何と1179万羽というから驚きです。
 農林水産省によると、これまで発生がなかった沖縄県や長崎県、山形県、福島県など 6県でも発生しており、全国どこでも起きうると考えられます。今期の流行は昨年10月末に岡山県と北海道で始まり、11月には19件、12月には30件と広がりました。これまで最多だった2020年度を上回り、処分数も新記録です。
 鳥インフルエンザは米国や欧州の各国、韓国や中国でも毎年発生しています。渡り鳥がウイルスを日本に運んできます。感染した野鳥やその糞、ネズミなどの動物が介してニワトリに移すのが一番多いと考えられています。今年度も北海道や東北から九州まで、感染した野鳥が観察されています。鶏舎に野鳥が入らないようネットを張り、常にネズミなどの駆除をします。作業員や出入りする人からの感染も考えうるので手指や車の消毒、鶏舎周辺の消毒などもするのですから養鶏業は結構大変です。
 ニワトリが何羽かまとまって死んでいると感染が疑われます。感染が確認されると家畜伝染病予防法に基づき、養鶏場の全てのニワトリが殺処分されます。農林水産省によればウイルスの広がりを防ぐため各国とも同じ対応のようです。鶏舎内を炭酸ガスで満たして殺し、死体を焼いて埋める処分が時々テレビに映ります。まだまだたくさんの卵を産めるのに無駄死にさせられるニワトリは本当にかわいそうだ、と同情します。いや卵も、そして自分も最後は人間の食料になるのだからさほど差はないのかも知れません。それよりも深刻なのは業者です。
 鶏舎の場所や体質でウイルスに感染しないニワトリがいても今はまだその確認ができないのでしょう。殺処分を減らせる研究が進んでほしいものです。

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