田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(477)驚きです防衛予算の大幅増
「防衛費5年で43兆円」というニュースが12月5日、突然に浮上してきました。岸田文雄首相が2023年から27年度の防衛費を総額43兆円にするよう、防衛大臣、財務大臣に指示したというのです。2019~23年度の予算は25兆5000億円ほどで、一挙に約1.7倍にも増えることになります。
驚いたのは首相の指示がすんなりと通りそうな雰囲気です。安倍・元首相とは違い、謙虚で優しそうな岸田首相がそうした決断をしたとすればやはり驚きです。首相の権威・権力は大したものだと感心の半面、自民党の幹部はすでに了承ずみの話かも知れない、とも思ったりします。
防衛省はさらに5億円も多い48兆円を要求していたのに対し、財務省は30兆円台を主張し、結局は防衛省に押し切られた格好です。ちらちら報じられてきたように防衛省は敵のミサイル基地を攻撃できるよう防衛能力の抜本的強化を狙っています。
先月の北朝鮮ミサイル騒ぎでは防衛省や何人もの評論家が北朝鮮の脅威を強調し、日本の防衛力をもっと高めなければいけないと主張しました。そうした流れに乗っかっての防衛戦略です。
ミサイルに対し自衛隊は海上のイージス艦と地上の地対空迎撃ミサイルで防衛しますが、その性能を上げ、数も増やします。しかし、万全の防衛は不可能です。新たな強力防衛兵器は敵の基地だけでなく周辺都市を攻撃する武器にもなります。その時は誰が指示するのか分かりませんが、1度始まれば全面戦争は必至です。ウクライナの廃墟マンションが目に浮かびます。
2020年の軍事支出額で、約5兆円の日本はすでに世界9位でした。要求通りになれば23年は米国、中国より少ないものの、3位のインド、4位のロシア並みか、それを超えるでしょう。
平和国家の日本が世界3位の軍事支出国になるなんて、これも驚きです。