田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(476)薬局でよく売れている漢方薬は
薬局などで買える一般用漢方薬トップメーカーのクラシエ薬品が漢方市場の最新動向をまとめた年次報告を発表しました。私は以前は漢方薬の記事をかなり書きましたし、今も愛用しており、12月1日に東京で開かれた記者会見に参加しました。古い時代からの薬が大きく変わって来ていることが実感できました。
西村英徳・同社マーケッティング部長によると、2022年1月から10月までに一番売れた一般用漢方薬は肥満対策の「防風通聖散」 (ぼうふうつうしょうさん) 、 2位が風邪薬の「葛根湯」 (かっこんとう) でした。昔は漢方薬と言えば葛根湯、で圧倒的な首位でしたが、年々差が縮まり、前年21年に逆転したそうです。コロナ禍のマスク効果で漢方薬に限らず風邪薬全体が大きく販売減になったと聞いて驚きました。
3位が高齢者の夜間尿に効く「八味地黄丸」 (はちみじおうがん) 、ちくのう症の「辛夷清肺湯」 (しんいせいはいとう) 、足のつり止め「芍薬甘草湯」 (しゃくやくかんぞうとう) の順でした。
22年の特徴を表すキーワードとして西村さんが挙げたのは「気象病」「夜間尿・頻尿」「女性の悩み」でした。近年の気象急変、気圧変化で不調の「気象病」対策として「五苓散」 (ごれいさん) や、めまい薬「苓桂朮甘湯」 (りょうけいじゅつかんとう) の需要が急拡大しています。冷えや生理不純の「当帰芍薬散」 (とうきしゃくやくさん) 、更年期の「加味逍・散」 (かみしょうようさん) など女性に役立つ薬も少なくありません。
メディアで紹介されて販売が伸びた薬が少なくありません。これまでは高齢者中心の漢方薬でしたが、免疫力を高めてコロナ感染を防ごうと20代、30代男性の使用が増えたとの調査もありました。
多くの生薬を配合した漢方薬は幅広く病状を改善できる総合薬です。できれば薬剤師や医師の知識を借り、健康作りにもっと役立てたいものです。