田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(470)マイナ保険証の方向は理解できます
政府は10月13日、2024年秋には今の保険証を廃止し、マイナンバーカードに保険証を組み込む「マイナ保険証」にすると発表しました。会見した河野太郎デジタル相はマイナンバーカードを「デジタル社会のパスポート」だと役割の大きさを強調しました。
2016年に始まった「マイナンバー制度」は、日本に住む人に12桁の番号を割り振り、これまでは官庁や自治体独特の書類だった社会保障や税などの情報を画像や数字にデジタル化してまとめます。その番号や住所氏名などが書かれたカードには顔写真が付いており、運転免許証と同様、本人の確認書類にもなります。
本来は全国民対象の制度のはずが、抵抗を緩和するため政府はカードの取得を任意としました。このために22年 9月末での普及率は49%に留まっています。業を煮やした政府が国民の誰もが必要な健康保険証をカードに組み込み、従来の保険証を無くすことで事実上義務化、100 %化を狙うものです。
国民の20%はマイナーカードに保険証を組み込んではいますが、実際に使われているケースは少なく、医療機関の多くはマイナ保険証に消極的です。開業医団体の全国保険医団体連合会は、カードを常時持ち歩くことでの紛失や盗難、医療機関での対策や事務負担・装置費用増などから反対し、政府に撤回を求めています。
医療機関の投資や人件費増は必然で、政府はある程度支援すべきです。一方で、医師が患者の受診歴、健診結果、薬剤など各種情報が読めるマイナ保険証が医療の向上につながるのも事実です。希望者だけ、よりは国民全体に広げるべきでしょう。
マイナーカードも同様です。いつまでも書類で提出、保存、では諸外国との遅れがますますひどくなります。
デジタル化では情報の流出防止策はもちろんですが、常に機能するための技術保全も重要です。銀行ATMなどのひんぱんなトラブルを思うとマイナーカードや保険証が急に使えない日が出るといったことが心配にはなります。