田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(468)子どもを守ってあげる社会に
前回は静岡県牧之原市の幼稚園の通園バス内に取り残され、熱中症で亡くなった 3歳の女児の事件を取り上げました。反響が大きかったことから政府は 9月29日、幼稚園や保育所、認定こども園などの通園バスに置き去りを防止する安全装置の設置を義務づけることを決めました。取り残された子どもを感知するセンサー、エンジン停止後に車内後部で警告音が鳴り、確認を促す、などすでに海外で使われている装置があります。対象の施設は全国で 16000もあり、抜ける施設が出ないよう国が費用を出すべきでしょう。スイッチの入れ忘れができない仕組みも必要だと思います。
先月の事件でもう一つ気になっていたのは北海道のゴーカート事故です。ゴーカートは簡単な構造の 1人乗り自動車で 9月18日、自動車販売会社が主催する子ども向けの体験イベントが函館市に近い森町で行われました。そこで11歳の女児が運転するゴーカートがコースを外れて見物客の中に突っ込み、 3人の子どもをはね、 2歳の男児が亡くなるという悲劇が起きました。
このゴーカートはレース用で、女児はアクセルを踏み続けていて、時速40キロメートルのスピードでした。また、見物席の前には三角コーンやポールしかなく、防護柵はありませんでした。不慣れな子どもに運転させる企画にはある程度の危険が伴います。小学生以下の子どもには一般的に法的責任は問えないので、事故は安全対策が不十分だった販売会社の責任になります。
犠牲になった男児の親の気持ちは察するに余りがあります。さらに今回は加害者となった女児も深刻です。事件の記憶は一生消えず、これからの人生に暗い陰を落とし続けることになるでしょう。典型的なPTSD(心的外傷後ストレス障害)への対応は非常に難しいと思われます。
起こってからでは遅い。どんなに多忙でも大人は未来のある子どもを守ってあげる、そんな社会であってほしいのです。