田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(467)子どもにもっと優しい社会を
悲しいニュースの代表は想定外の子どもの死亡です。親の気持ちを考えると本当に切なくなります。 9月 5日、静岡県牧之原市の川崎幼稚園のバス内に取り残され、熱中症で亡くなった 3歳の女児の事件は関連ニュースが続き、何度も考えさせられました。
午後 2時過ぎ、園児を帰宅させる時に職員が送迎バス内で倒れている女児を見つけました。バスは午前 9時ごろ園に着き、屋外の駐車場にとめてありました。気温も30度を超えていた日で、 5時間も暑い中に閉じ込められていたことになります。
登園バスに乗ったのはたった 6人の園児と女性の派遣職員、それを幼稚園の理事長が運転していました。理事長はバス内を確認せずに施錠しました。職員は乗車時にリストで園児を確認しながら降車時には確認せず、 6人とも登園したと報告していました。理事長も職員も降車時の確認は相手がすると思っていたそうです。こうした仕事をしたことのない私にはたった 6人が揃っているかどうかは瞬時に判断できそうな気がしましたし、普通ならバス内に落とし物がないか、職員も運転手も全座席を観察するはず、とも思いました。両方70代とはいえ、ボンクラ過ぎるのではないでしょうか。
同様の事件が昨年 7月、福岡県の保育園バスで起き、厚生労働省や内閣府は自治体に対し、乗車時降車時の人数確認、などの安全対策を促すよう求めていました。たまたま常勤運転手が休み、理事長が代行したとのことですが、本来なら職員に安全対策を求める役の理事長が無視したのもひど過ぎます。
暑かったのでしょう、女児は上着を脱ぎ、水筒も空でした。父親は女児に最後に乗ったのだから降車も最後にと教えていたとのことです。
バス内の置き去りをチェックする国産の装置、運転席のクラクションを鳴らすように教える施設のニュースもありました。実は似たような事件は海外でも結構起きていて、米国や韓国ではバスの後部までをチェックしないとブザーが鳴りやまない装置、なども付いているそうです。
背景として現場の人手不足も指摘されています。もっと根本には子どもに優しくない大人社会の仕組みがあるのでは、とも思います。