田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(465)異常気象の目茶苦茶ぶり
地球温暖化の研究で昨年のノーベル物理学賞を受けた真鍋淑郎さんへの文化勲章伝達式が 9月 1日、ニューヨークの総領事公邸で行われました。真鍋さんは米国プリンストン大学上級研究員で米国に在住、90歳の高齢で体調もあり、東京で伝達式に出席できませんでした。そのうえ、新型コロナの流行で延期になっていたものです。
伝達式の後、真鍋さんは報道陣に異常気象の脅威を話したようです。「干ばつは頻度がどんどん増え、雨が降るところは大雨が降る。その頻度が目茶苦茶に増えている」「10年に 1回起こる大洪水が毎年起きている。いままでのやり方では大洪水はコントロールできない。政府は治水の問題にますます力を入れてほしい」と言った発言でした。
私が毎日見ているNHKニュースではあまり出て来ませんが、世界の異常気象はどんどん過激になっています。今年はポルトガル、スペイン、フランス、それに米国などでは異常な高気温から大規模な山火事が発生し、パキスタンでは豪雨による大洪水で国土の 3分の 1が浸水しているそうです。
日本でも毎年のように集中豪雨があります。2017年の九州北部豪雨、18年の西日本豪雨、20年の熊本豪雨など、地域一帯が水につかりました。でも、全国で見ればごくごくわすかです。雨期で 3ケ月も雨が続いたというパキスタンとは条件も違うでしょうが、もし、国土の10分の 1、20分の 1でも浸水したら…どんなことになるのでしょうか。
山火事のうえにわざわざ爆弾で街を焼いているような人類では地球の温暖化を止めることは不可能です。真鍋さんが指摘するように従来の治水対策では、異常な豪雨による大洪水をコントロールすることなどできません。
パキスタンの被害をネットで見ていると本当に悲しくなります。