田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(46)リーダーの軽言妄動
日本のリーダーたちは一体、どういうつもりなのか、と驚くことがあまりにも増えています。言い古された言葉「日本の常識は世界の非常識」は本当に真実を突いています。政界はもちろん、経済界しかり、医療界もしかり、でしょう。
背筋がぞっとした筆頭は昨年末、安倍総理の靖国神社参拝事件です。総理の念願、信念はともかく、中国や韓国の反応は十分すぎるほど予想できました。現職の総理としては小泉さんから 7年ぶりとのことですが、民主党政権が尖閣諸島を国有地として刺激して以降の日中関係は最悪です。わざわざさらに悪化させるメリットは、国民にありません。「俺の好きにする」ことで、崩壊した会社や国は数えきれないほどです。社員や国民が路頭に迷いかねません。数年前には予想だにしなかった尖閣諸島をめぐる軍事衝突の確率が上がっています。「失望感」を示した米国はさすが、常識を持っています。
しかも、1月22日、スイスのダボスでの会議で総理は、第一次大戦の英独関係にわざわざ言及し、日中の衝突はやむを得ないとも受け取られる発言をしたと伝えられています。地位が上がり、偉くなって自信がつくと、周りが一切見えなくなり、傍若無人のふるまいをしたくてしょうがなくなるのは大人物ではない証明です。
麻生副総理も昨年夏に大失言をしました。「靖国神社は静かに参拝すべきだ」は、安倍総理よりは常識的でしたが、「騒がず静かに憲法を改正、それもいつの間にか変わったナチスの手法を学ぶべきだ」といった趣旨の発言でした。後で不可解な言い訳がありましたが、欧州がナチスをどう受け止めているかにあまりにも無神経です。
日本で最も強力な報道機関NHKの籾井勝人・新会長が就任会見で、従軍慰安婦問題に言及して韓国を批判したことも余分でした。NHKは中韓を敵視する安倍内閣と一体であることをはっきり示したわけです。諸外国からはきっと、日本も北朝鮮と同類の国に見えることでしょう。
自民党に投票した人たちの何割が、これでいいと考えているのか知りたいものです。