医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2022年6月27日

(456)最高裁判決ってどこの国も似てる

 東京電力福島第一原発事故を巡る集団訴訟で、最高裁の小法廷は 6月17日、国の賠償責任を認めない判決を言い渡しました。地裁や高裁ではこれまで23件の判決があり、認めるが12件、認めないが11件とまさに半々でしたが、最高裁の初めての判決が出たことで認めない方向になりそうです。大きな津波を予測していた長期評価があったからには国の賠償責任を認める判決もあり得ると思っていただけに、ちょっぴり拍子抜けした感じです。
 判決は、長期評価の大津波を上回る「想定外の津波で防潮堤を設置しても事故は防げなかった」とし、国の責任は認めませんでした。以前の報道では長期評価で示された大津波を当時の国や東電の責任者はまともに受け止めていなかったようでした。あり得ることと考え、安全率を大きく見込んで防波堤を設置していれば、どうだったでしょうか。
 万一用の非常用電源の建屋が浸水し、全電源喪失が致命的だったと聞いています。まともに受け止めていたら、非常用電源の分散という対策があったかも、とも考えます。
 危険性を内包しながらの原発推進は国策でした。住民はだまされたようなものですが、国には何の責任もないのでしょうか。
 小法廷は裁判官 4人の合議制で、 3人の裁判官は認めませんでしたが、 1人の裁判官は国の賠償責任を認めたとのことです。国を相手取る訴訟で勝訴することが非常に難しいのは裁判官を任命するのが法務省・国であることからも十分理解できます。
 複雑な思いでいたら、米国にはさらに驚かせられました。米連邦最高裁は 6月23日、銃所有者に条件を付けた州法を違憲とし、米国人が武器を所有する権利を認めました。また、翌24日には人工妊娠中絶を規制した州法を合憲とし、中絶を認めた1973年の最高裁判決を覆しました。裁判官 9人のうち保守派が 6人、非保守派が 3人で、 2つの判決とも保守派の 6人が多数意見でした。
 世界を見回すと戦争好きの大統領の国、完全な独裁者の国、国民の意識が対立している国が目立ちます。いろいろあっても好き勝手に考えることのできる日本で良かった、と思ってしまいます。

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