田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(454)「自分でトイレ」はいかが
歩けなくても寝たきりでも、排泄だけは自分でしたい、という高齢者や障害者は少なくないのではないでしょうか。どんな人でも使えることを目指した「自分でトイレ」がこのほど商品化されました。考案したトイレ用品一筋の研究者、金井純代さんから直接話を聞かせてもらいました。
「自分でトイレ」の本体は、縦が 110センチ、横70センチ、深さ30センチの厚手の塩化ビニール袋です。袋の上部周囲に自由に開閉できるようワイヤーが通してあります。 袋の内側に大きなポリ袋を入れ、その上からしゃがんだり、座ったり、寝たりなど自由な姿勢で排便します。尿の場合はポリ袋は洗って再利用、便は袋ごと廃棄します。終わったら本体の袋はワイヤーで閉じておきます。
「このトイレがあれば、ほとんどの人は自分で排泄できるので、介護者の負担は激減します。介護施設や病院で無理やりオムツにする必要もなくなります」と金井さん。食べて出す、は自然なことですが、排泄の始末やオムツ交換される人は恥ずかしかったり、屈辱感を感じたりします。使用時に見られないための「お尻隠しスカート」は、外出できる人の場合は外出先でも活用できます。
金井さんは東京在住の歯科医ですが、母親を介護した経験から介護問題は下の世話だと痛感し、約30年前から排泄研究に取り組んできました。私は、彼女が開発した真空吸引式トイレ付きのベッドを1995年に新聞記事で紹介して以来のお付き合いです。彼女はその後、「持ち運びできるトイレ」、寝たまま使える「ベッドでシャワー」、「穴あきマットレス」などユニークな関連商品を次々考案し、自ら立ち上げたアリスベッド株式会社 (東京都新宿区四谷三栄町) から販売しています。
ホームページによると「自分でトイレ」は税込み価格 24500円、書かれていない「お尻隠しスカート」は3000円前後とのことです。