田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(453)「色覚多様性と人権」のスライド
昨日 6月 5日の日曜日もズーム会議でした。「も」と書くのは何と 1週間で 4回目のズーム会議だったからです。私が会員になっている 6つか 7つの会の1 つ、色覚差別撤廃の会 (てっぱいの会) の総会でした。色覚は私が特別に関心を持っているテーマの 1つで、ここでも書いたことがあります。
調べて見ると「色覚の不思議、眼科医の不思議」は2021年 6月でした。昨年 6月 6日の同じく日曜日に開かれた前回総会もズーム会議でした。しかも、手帳を見るとその週 3回目。 1年はアッという間に過ぎ、しかもまったく変わらない状況が続いているような感じがします。
てっぱいの会の事業報告やそれに絡んだ意見や討論がありました。その中で注目したのは色覚問題をスライドで分かりやすく説明した「色覚多様性と人権」が映写されたことでした。以前は色覚検査が小・中学校の健康診断の必須項目で、養護教諭が担当していました。会の顧問でもある名古屋市の眼科医、高柳泰世先生は検査の問題点を知ってもらおうと47都道府県で養護教諭を対象に講演しましたが、スライドはこの内容をこのほど福岡市教職員組合が20分ほどにまとめたものです。
聴覚、嗅覚、味覚など感覚には個人差がありますが、色覚だけは特別扱いで、男性4.5 %、女性の0.2 %が「異常」と判定されます。大半が「石原表」による検査ですが、色の見え方は多様で、ほとんどの人は生活にも仕事にも支障がありません。高柳先生は能力を評価できない検査を使って、これまで長く就職や進学が差別されてきたのは人権侵害だと指摘してきました。
総会では、このスライドをだれもがネットで見れるようにしようとの意見でまとまりました。学校での一律検査はなくなったのですが、希望者を対象とした検査が2014年ごろから各地で広がってきています。一部に残る差別や不安に対応するために必要だと考えている眼科医が多いためです。
人間の多様性というか、いろんな障害を持つ人が暮らしやすくなるようにとさまざまなバリアフリーが登場する時代です。なぜ日本の眼科医がこんなに色覚にこだわるのか、本当に不思議です。