医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2022年5月30日

(452)統計の尋常でない目茶滅茶度

 「国の統計がますます信じられなくなります」と書いたのは今年 1月でした。国土交通省が建設業者の受注額を都道府県に書き換えさせたり、自ら書き換えていた問題です。
 おかしいのは企業が毎月提出する調査票が遅れて未提出だった場合です。スクープした『朝日新聞』 (2021年12月15日付け) によりますと、国交省はその月の受注額は業者の平均額とします。そのうえで、1カ月とか 2カ月後とかに調査票が提出された時は、その合計額を最新 1カ月の受注額とするよう県などに書き換えさせていました。明らかに不適切な二重計上で、その月は突出した受注額になるはずです。
 2020年 1月、会計検査院が気づいたため、国交省は県などに書き換え中止を指示、その後は21年3月まで、何と自ら書き換えていました。なぜそんなことをする必要があったのだろうか、あれこれ考えてみるのですが、答えが浮かびません。
 国交省はこの問題の影響を調べ、是正するための有識者らの検討会議を設置しました。同会議は今月、二重計上で2020年度の統計が 3.6兆円 (4.8 %) 過大で、二重計上が始まった2013年度から19年度はもっと多くて、5.8 兆円 (7.7 %) も過大だった可能性があると指摘しました。
 それはいいとして、この会議の事務局の中心人物が二重計上絡みの職員で、減給処分を受けていました (2021年12月15日付け『朝日新聞』) 。こうした会議では省庁事務局の役割や影響は大きいものです。国交省は「統計に精通していた者を参加させた」と弁明するのですが、違和感は否めません。
 あまりにも続く目茶苦茶は国交省の強い意図を感じさせます。とするとその目的は何なのでしょうか。                

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