田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(441)人類はもっと進化しなければ
このところ、ロシアのウクライナ侵攻に毎日ハラハラさせられています。突然の戦争開始、テレビでの爆撃や高層ビルに当たるミサイルの瞬間の映像に驚き、廃墟の一帯に息を飲みます。そして地下で避難している家族、隣国に逃れようと列車に乗る人たちの悲しみが目に焼きつきます。
米国バイデン大統領のオーバー気味の警告はありましたが、プーチン大統領が本当にこんな昔風の戦争を始めるとは思っていませんでした。ウクライナが反ロシアのNATOに加盟しようとしているのは確かにロシアの不安材料にはなります。独立国とはいえ、先日まで配下の属国だったくせに、俺を馬鹿にしやがって、とのプーチン大統領の気持ちが分からないわけではないけれど、それにしても、です。
大国のこんな戦争が世界で容認されるわけがありません。でも、長期政権で何でも思い通りの大統領が決断すれば、追随するだけの部下は「さすが強い大統領と世界は尊敬します」とか持ち上げたのではないでしょうか。長期政権はどこかおかしくなります。
一方、国連総会で 141カ国がロシアを非難し、ウクライナからの撤退を求める決議に賛成したのにも驚きました。反対はロシア、ベラルーシ、北朝鮮など 5カ国だけ。中国など47カ国の棄権はあったものの、一方的な侵攻は非常識と受け止められました。そして、ロシアに対する予想外の制裁です。国だけでなく多くの企業が反ロシアの意思を示し、取引の停止などに加わっています。人類は進化したもんだとついつい感心しました。
戦争は一刻も早くやめて欲しいです。戦争は軍人だけでなく、市民の命も容赦なく奪います。国を守ろうと率先して銃を持ち、戦死したウクライナ人の家族だけでなく、事情が分からず動員され、戦死したロシア青年の家族の突然の悲しみに胸が詰まります。
ロシアを批判する米国だって先の第二次世界大戦では日本の主要都市を空襲したうえ、広島、長崎には原爆を落としました。戦局とは無関係に何十万人もの日本人が殺されたわけです。そして、今も爆音が絶えないアラブとイスラエル、民族対立と独立戦争、各地であふれている難民たち。それを考えると人類の進化は少な過ぎる気もします。