田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(439)実習生よりは移民を認めたら
新型コロナのおかげでいろんな職場が人手不足、労働過多に陥り、SOSを発しています。とくに深刻なのは医療や介護の現場でしょう。日常診療を減らして医師や看護師を集めて対応も大変なことです。関係者のご苦労に頭が下がります。
介護職員はもともと重労働のうえ低賃金とあって、他職の求人の多い都市部ほど離職が多く、慢性的に人手不足気味でした。コロナが加わって仕事量はさらに増え、感染の危険も高まりました。人手不足はひどくなる一方で、そのために倒産する介護業者も増えているようです。
本当は若い人たちが介護の重要性を認識して、介護現場で楽しく働いてくれるのが一番です。しかし、そうでなければ前述の低賃金が大きなネックです。介護料は国の介護保険制度による公定価格が基本ですが、財務省は公定価格の公費分を増やしたくないし、介護業者も自己の収益を減らして職員の給与を上げてはくれません。楽で収入の多い仕事があれば介護職員が転職するのも理解できます。
一方で、介護職で働きたいのに働けない人がいます。ベトナムやミャンマーからのいわゆる技能実習生や特定技能者です。日本との給与格差がまだまだ大きいことから、低賃金でも魅力があるわけです。
ところが、日本政府はコロナ対策として2020年春から外国人の入国を原則停止しています。欧米メディアから「鎖国」と皮肉られているこの政策も介護現場にはマイナスです。そもそも、ワクチンの接種や感染していないことの確認がある外国人であれば、規制から外しても、ウイルスの持ち込みが急増することは考えられません。一律は、個別に判断する手間を省きたい役人の意向でしょう。
農業や漁業も技能実習生頼りの地域があり、人手不足は深刻なようです。技能実習生などの制度は名目と実質とが違っているインチキ制度ですが、日本も欧米諸国のように、労働力としての移民を認めるべきだと思います。若いアジア人家族を受け入れることで、人口減少、労働力減少も緩和や解決が可能です。