医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2022年1月17日

(434)国の統計がますます信じられなくなります

 新しい年になるとこれまでは何となく気持ちが引き締まりました。かつて私が勤めていた新聞社などは、11月を過ぎたころからは「来年の新しい話題」が大きなテーマでした。大抵の事件は年を超すと急にしぼんだ感じになってしまう、それに代わるトピックス、というわけです。ところが今年も新型コロナだ、オミクロン株だ、政府のもたつきと、変わらない話題が続き、昨年が続いているかのようです。
 政府の資料隠しやごまかしはずっと前からですが、12月には新顔の基幹統計の書換えが発覚しました。建設業者が受注した工事額は都道府県を経由して国土交通省に報告されます。企業は提出が遅れると何カ月分をまとめて報告しますが、その場合に国交省は県にその 1カ月の分として書き直すよう指示していました。おかしいのは一方、報告がなかった月の分は企業が全体の平均額を届けたとしていたことです。だれが考えてもこれは二重計上で、実際の額の何割かの増額になります。
 この統計は国の経済統計の基礎資料にもなっているそうです。安倍内閣時代、世間では不景気感が漂うのに「経済は順調」が続いていましたが、さてはと思わせます。会計検査院の調査で判明したことから2020年の 1月、都道府県への指示がなくなりましたが、昨年 3月までは国交省職員自らが書き直し作業をしていました。何の意図も意味もなくそうしたことが続くとはとても考えられないことです。以前、厚生労働省の勤労統計調査などでも手順の無視があり、政府の統計はあまり信用されなくはなっています。それがますますひどくなったという程度のことかも知れません。
 ところで、朝日新聞の記事によると、20年 1月、国交省の担当室から書き直し作業取り止め指示のメールが出ましたが、何人かの都道府県担当者はメールに気づかずに何回分かの書き直しを送ったようです。この正月、私もメール連絡に気づかず、機会を逃してしまいました。高齢の職員だったのか、メール慣れした若い人も見落とすことがあるのか、などと余計なことまで考えてしまいました。

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