医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2021年12月7日

(430)コロナ対策そろそろ落ち着きを

 新型コロナによる右往左往がまだまだ続いています。報道によると、政府は11月29日、日本に到着する国際便の新規予約を12月末まで止めるよう全ての航空会社に要請していました。海外に駐在している日本人の多くは年末に帰国して家族と正月を過ごすのを楽しみにしているでしょうが、新型コロナのウイルスが持ち込まれる危険を減らすためと国土交通省が決めた対策です。
 ニュースをテレビで聞いて、私は駐在員も大変だと同情すると同時に、そこまで必要だろうかとの疑問を持ちました。というのは変異の多い新型ウイルス・オミクロンの登場で世界中が浮足立ちました。しかも、これまでは最も対応が遅かった部類の日本がいち早く、厳しい鎖国策を打ち出したからです。個人差があって深刻に困る人もいることを役所は考えていないようです。案の定、要請は12月 2日に取り消されました。
 新型コロナは変異しやすいウイルスで、次々に変異株が出てきています。変異が大きいほど感染力が強まり、ワクチンの効き目が低下したり、重症化や予期しない症状が出る可能性があります。WHO(世界保健機関)は11月26日、南アフリカで見つかったオミクロン株を最も要注意すべき変異株として各国に注意を呼びかけました。
 とはいえ、オミクロン株の強さはあくまで可能性の段階です。感染力は強いものの症状は軽いとの報告もあります。ワクチンも全く効かないということもなさそうです。これからいくつも出てくる多変異型ウイルスの走りかも知れませんが、そうなるとまだまだコロナ自粛時代が続くことになります。
 経済の回復も確かに重要ですが、重症者続出、死者累々では悲惨です。重症化を防ぎ、インフルエンザ程度のウイルス病で収まるよう、医療体制を整備し、日常生活を復帰させる必要があります。
 幸いにも感染者、重症者とも少ない日本です。そうした国はアジアに多いので、民族の体質や食生活が原因の可能性があります。一番早く出すのは新型コロナ克服の宣言にしてほしいものです。       

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