医療ジャーナリスト 田辺功

メニューボタン

田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2021年11月24日

(428)ヨタヘロ期をどう生きるか

 先ごろ評論家で女性運動家の樋口恵子さんの講演を聴く機会がありました。新型コロナのおかげでこれまでの講演会はほとんど延期・中止になり、画像でしか開かれない状況でしたから、何となく胸ワクワクでした。ようやく元にもどりつつあるのかと実感させられました。
 樋口さんは満89歳だそうです。とてもそうは見えないお元気な話振りでした。
 タイトルは「人生後半『ヨタヘロ期』をどう生きる! 」でした。ヨタヨタヘロヘロと頼り無く動く後期高齢者時代をどう元気で過ごすかの実践指導のようなお話で、とてもわかりやすく、参考になりました。
 樋口さんは最近、何と 2回も転倒されたそうです。 8月に自宅の階段を半分の 9段分を落ちたそうです。階段は半分で曲がっていました。この時は頭や顔を打ちませんでしたが、体には青あざがいくつもできました。そして 2カ月後の10月。夜中に、送られてきたファクスを見ようと体を傾けてのぞきこんだ時にフラッと倒れ、机の角に頭を打ちました。頭が 2センチ半ほど切れひどい出血だったそうです。
 日本人の平均寿命は女性が87歳、男性が81歳。しかし、自分でトイレに行ける、入浴できるなど自立できる健康寿命はそれより女性は12年、男性は 9年も短くなっています。樋口さんの造語「ヨタヘロ期」は自立が困難になった約10年を意味しています。
 自立ができなくなる原因で多いのは男性は心臓と脳の発作、女性は転倒です。女性は女性ホルモンが減ると骨は弱くなるし、 1人暮らしで外出 (運動) が減り、自分だけの食事はだんだん作らなくなって低栄養になりがちです。都内で亡くなる高齢者はお風呂が交通事故の10倍、転倒や転落はさらにその10倍を上回るというから驚きです。
 ヨタヘロ期を短く、できるなら無くしたいものです。女性はとくに栄養と転倒に気をつけてください。

トップへ戻る