田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(420)コロナ関連死、仕方ないに疑問も
全国19都道府県に出されていた今月末までの緊急事態宣言がどうやら解除されそうな方向です。毎日発表される新型コロナの感染者数が大きく減ってきていますし、「解除したい」との政府の意向も見え見えです。
政府の専門家会議は 9月 8日に、宣言を解除する際の新指標を発表しています。現行の指標は結構厳しくて、このままでは解除は年越しかもと思われていました。おそらくは政府の要求に応じてのことでしょう。それを新規感染者や入院患者などの数ではなく、それぞれが減少傾向にあればよいと条件そのものを変えました。これで解除し易くなったのは明らかです。田村憲久厚労相は24日の記者会見で「ほとんどの地域で解除基準に近づく」と方向を示唆・誘導しています。
宣言がコロナ感染防止にどれだけの効果があったのかは分かりませんが、解除に伴って飲食や観光、旅行などが復活します。経済の重要性は理解できますが、菅義偉首相がこだわったGoToトラベルで感染が拡大したことを思うと不安があります。
1年半ほどのコロナ期には心が痛む報道がいくつもありました。ワクチンが接種されていない時期、いくつもの高齢者施設や病院でクラスターが発生し、多くの高齢者が亡くなりました。コロナで重症になり入院が必要と判断されながら、受入れる病院不足から救急車が何時間も患者を乗せたままだったり、コロナのあおりでコロナでない救急患者の入院先が見つからないケースもありました。医療崩壊が深刻になっています。
症状が軽い人は自宅療養を強いられましたが、容態が急変し、亡くなる感染者も絶えません。特別な持病もない若い人、回りが気づいたら亡くなっていた 1人暮らしの人、チェックするはずの保健所リストから漏れていた人もいました。医者嫌いの病気持ち、診察したり看護師が見れば要注意と分かった人かも知れません。
コロナである程度の死者は仕方がない、と思う半面、それでいいのかの疑問もわいてきます。