田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(40)よくわからない秘密保護法
マスコミの連日の大反対キャンペーンにもかかわらず、政府が国会に提出していた「特定秘密保護法案」が圧倒的多数で成立しました。いろんな有識者が反対したようですが、どの程度、国民に理解されたのでしょうか。本当のところ、記者(お門違いの医療専門ですが)の私にとっても、よくわからないところがあり、想像するしかありません。
何年も前からこうした動きはありましたが、今回実現に至ったのは米国中央情報局(CIA)職員エドワード・スノーデン氏の秘密漏洩事件があったからでしょう。米国国家安全保障局(NSA)が多くの企業を抱き込み、同盟国を含む世界の首脳や主要機関の電話やメールを盗聴していたと、メディアに暴露した事件です。
本来ならば各国が米国を批判すべきですが、スノーデン氏の方が悪役になり、各国とも問題を鎮めるのに協力しました。それはどの国も国民をだましたり、知られたくない秘密を持っており、それが表に出ては余計にまずいからです。
米国は秘密保護をもっと強化する必要があります。同盟国から漏れる恐れをなくすために同盟国にも同じことを求めたのではないでしょうか。自民党政権は昔から米国の言いなりのうえ、尖閣諸島を巡る中国の圧力があるので、米国には逆らえません。あわてて法案を作ったため、あちこちにボロが出てバタバタ騒動、というのが真相の気がします。
大手新聞は「知る権利」を盾に論陣を張りました。政府が悪事を働き、法律で守る、暴露する官僚や記者には鉄槌を食らわす、といったイメージです。「首相はバカだ」と発言したら「国家機密漏洩罪」で逮捕された、というロシアジョークがありますが、日本はそこまでは行かない気がします。むしろ、それに近いのは中国でしょう。
あんなに書くなら記者は西山さん以上のスクープをして政府を震撼させるべきだし、国民の7割が反対なら、賛成した議員を次の選挙で落とし、秘密法修正法を採択させるべきです。「日本人は世界一忘れやすい国民」でなければの話ですが。