医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2020年11月25日

(381)無理を承知のGoToトラベル

先週は数日間、奈良で過ごしました。奈良には管理を任されているおばの家があり、家内は 2カ月に 1度ほど、私はその半分ほど行くはずでした。ところが、今年はあの新型コロナ騒動。ついつい出にくく、今回は本当に久しぶりでした。手帳を見ると、前回は私は 1月、家内も 6月でした。
 驚いたのは昨日11月23日の午後の京都駅。駅構内はこれまで見たことのない混雑ぶりでした。ぶつからないように歩き、みやげ物を買い、支払うための行列が曲がりくねっていました。頭上をコロナウイルスの粒々が舞っているような感じがしたほどです。
 今朝の朝刊には、政府の「GoToトラベル」事業の一時見直しが確実になったことが報道されていました。まずはコロナの感染がとくにひどい札幌市、大阪市が対象です。23日まで 6日連続で 200人以上の北海道、22日まで 4日連続で最多を更新し、東京都を上回る日も出た大阪府の大部分が両市での感染なのでしょう。
 そもそも、GoTo事業は支離滅裂といっていいほどの政策です。コロナのせいで観光関係業界が危機にあることも、お友だち企業を助けたい政府の立場も分からないわけではありません。しかし、政府は、ウイルスの流行を抑えるため、密閉、密集、密接の「3密」を避けろと呼びかけてきました。その結果、政府にあまり忠実とは言えない私でさえもついつい閉じこもり生活が増えました。
 旅行はどう工夫しても「3密」の機会が増えます。感染対策を徹底してもコロナが防げるとは限りません。それを承知で始まったGoTo事業です。 3連休初日の21日京都の嵐山は 1~ 2月の休日の 2.8倍の人出だったとか。京都駅の混雑に、納得です。
 GoTo事業は、東京除外、高額委託費、急な繰り上げ実施、運用の変更など、批判続きの中でのスタートでした。菅首相が官房長官時代の 8月の記者会見で、GoTo事業での感染者がほとんどなかったと誇示していたのを思い出します。

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