医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2013年11月25日

(38)医療イノベーションへの期待

 先週の金曜日11月22日、私は横浜市の主催する「横浜ライフイノベーション特区・トップセミナー」で講演をさせていただきました。横浜市や川崎市は全国 7カ所の国際戦略総合特区に選ばれています。この中でとくに医療や健康関連を重視している地域が、つくば、関西、そしてこの京浜臨海部です。特区を成功させるため、より多彩な企業を呼び込みたいとの企業向けセミナーでした。
 演題は「シーズは無限、革新的医療」としました。私は新聞記者時代からフリーになった今も、新規の医療技術に大きな関心を持ち、独立行政法人・科学技術振興機構(JST)などが主催する、大学と企業を結び付ける発表会や、新聞・雑誌の新技術報道にも注目しています。その経験からすると革新的医療の材料(シーズ)はたくさんあります。
 しかし、日本は生かしきれていないシーズが実に多いのです。一番の理由は権威主義、封建主義、医師至上主義の医療界、それに妥協・追随する産業界にあると思います。世界的と思われる発見でも、狭い専門学会が認めないものはまったく無視されています。その代表例として、私は植松稔医師らのがんの四次元ピンポイント照射法、太田富雄・大阪医大名誉教授の脳卒中や脳外傷の急速冷却治療法、松澤大樹・東北大学名誉教授のうつ病・統合失調症・認知症治療法、腰痛のAKA博田法、早稲田大学が成功した人工赤血球などを紹介しました。
 そのうえで患者のニーズをふまえれば医療産業への参入はまだまだ可能なこと、そしてできるだけ他分野の企業が参入することで医療業界を変えてほしい、と要望しました。
 トップセールスのため、講演もされ、終始会場につめていらした林文子・横浜市長には「初めて聞いた話ばかり」といっていただきました。また、谷口英樹・横浜市立大学教授のiPS細胞での臓器作り研究、特区内企業で医療機器業界に参入したJVCケンウッドの河原春郎・代表取締役の話も勉強になり、ちょっとハピィな半日でした。
 横浜地域の一層の繁栄を願っています。

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