田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(378) 米国大統領選と学術会議
もう11月、とは驚きです。日々の過ぎ去る早さに加え、今年も残り少ないとの切実感が伴います。うんざり気味ですが、最近のニュースといえば米国大統領選と日本学術会議の任命拒否問題が双璧でしょうか。
民主党のバイデン・前副大統領と共和党のトランプ大統領の争いはいよいよ最終段階です。有権者の支持率では民主党がリードしているものの、差は数%程度。知らぬ素振りの隠れトランプ派がかなりいるともいわれており、11月 3日の投票でどちらが勝つかは予断を許さない状況です。
それにしても、あれだけ非常識、奇異な言動を繰り返すトランプ大統領を半数もの米国人が支持しているのが理解できません。利益第一主義はわからないでもないものの、米国はこれまでの大統領が協調・協力してきた国際組織から次々に離脱しました。地球温暖化を否定、石炭や石油を消費し、新型コロナ対策も不十分なまま。言う通りにしない閣僚は次々に首を切り、気に入らない報道はウソだと否定、暴言は吐き放題、そして事業では意図的な支出を出して徹底した節税、と無茶苦茶です。大規模な集会での手振り、身振りの演説に、聴衆が歓声をあげています。共和党の議員がそんな候補者を容認しています。米国社会は本当に不可解です。
一方のわが国は、日本学術会議問題です。 9月に発足したばかりの菅内閣が、会議が選んだ 105人のうち 6人を任命しませんでした。政府に批判的との受け止めでしょうが、従来は形式的と見られていた任命権が選考権に広がったわけです。菅首相はいろいろ言い訳をしていますが、理由になっておらず、批判が出るのは当然です。トップのおかしな言動も、米国はおおっぴらで堂々、日本は陰でこそこそ、の感じです。国民性の違い、ということでしょうか。