田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(360)中川・新会長に期待したいですね
先週の日本医師会会長選挙はやや意外な結果でした。副会長だった中川俊男氏(69) が横倉義武会長 (75) の 5選を阻止したのです。思えば 2012 年 4月、副会長だった横倉さんも会長の原中勝征さんを破っての就任でした。民主党に近かった原中さんは、民主党政権不人気のあおりを食った感じでした。以来 4期8年、予想外の長期会長時代が続いたわけです。
横倉さんといえば安倍晋三首相との親交が印象的です。診療報酬の改定時のニュースでは、最後は横倉さんの顔をたてて少しアップ、が常態化していました。横倉さんはもともと引退を表明していたのに、政府の意向で変わったようです。まだまだ続けたい安倍さんに合わせるべきだ、となったのでしょうか。しかし、医師会の代議員は中川さんの「多選批判」を支持しました。トップ交代で組織は変わります。これからの日本医師会の動きに注目です。
福岡県の横倉さんとは逆で中川さんは北海道の出身です。実は私は結構早くから中川さんを知っていました。1988年に日本で最初の脳ドックを始めたのが、中川さんが院長を務める札幌市の脳外科病院でした。私は脳ドック開設時から関心があり、記事を出したのですが「宣伝だろう」とボツになり、翌年、開設 1年までの受診者90人の結果をまとめた報告記事で、脳ドックというものを紹介しました。以来、脳ドックは私がずっと関心を持ち続けている分野です。中川さんの新しいことに対する挑戦心や実行力に期待します。コロナ時代の医療のあり方も課題です。
それにしても、世の中は多選志向が目立ちます。露骨すぎるプーチン大統領を筆頭に、日本の安倍首相もその印象があります。権力の座にながくいるほど、おかしなこと、無茶なことが簡単にできるようになるようです。多少の批判があっても力で押しつぶせるし、まずい資料は捨ててしまえば終わり、ですから。
医療は何よりも患者第一です。開業医優先で改革拒否、といった日本医師会の古い姿勢も変わっていってほしいですね。