田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(359)事業委託の実態に驚き
1人10万円という特別定額給付金が楽しみです。私は今月4日に郵送しました。意外だったのは郵送先が郵便局止めで、委託事業会社になっていたことです。正直のところ驚いたのですが、考えてみると、通常業務で手一杯の自治体が、思いつきで降ってきたような事務作業を行うのは無理とわかります。総務省から委託された事業会社は何社あるのか、とにかく各世帯への送金は大変な大事業です。
委託といえば、新型コロナで売り上げが半減した中小企業向けに政府が出す持続化給付金が5月から国会で追及されました。経済産業省中小企業庁から769億円で委託された法人のサービスデザイン推進協議会(広告の電通、人材派遣のパソナなどが設立)は20億円を抜いて749億円で電通に丸投げ・再委託していました。協議会はいわゆるトンネル会社で、代表理事は給付金事業をしていることも知りませんでした。
電通はさらに子会社5社に再々委託、そこからパソナなどに再々々委託、とはあきれます。中小企業庁長官らと電通関係者の密接な関係も報じられました。また、協議会は過去に14件も委託されていて、半数が単独入札でした。もう1社が入札に参加した件では公示から入札締め切りまで5日間しかなく、事業提案書提出の翌日に協議会に落札された、などお友だち企業を大事にする政府らしい話が次々と出てきました。
今月の国会では、コロナ対策の目玉としての消費喚起策「Go To キャンペーン事業」も取り上げられ、再委託は「原則禁止」になりました。原則禁止と禁止はどこかに違いがあるのかも知れません。
6月19日はフジテレビ・産経新聞社の世論調査で委託先が無断で再委託した会社の社員が回答をねつ造していたことが明らかになりました。再委託、再々委託となるほど無責任になりやすいことを示しています。
「Go To キャンペーン」では委託費が高すぎると問題になりました。大部分を占める国土交通省の観光支援事業費は1兆3500億円で、委託費の上限は2294億円(17.0%)です。ちなみに特別定額給付金の委託費は11.4%になります。
税金は政府が勝手に使えるお金なのでしょう。