田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(349)感染症は本当に怖いですね
たまたまですが、4月2日、私の住む日野市でウイルスの専門家にお会いしました。新型コロナウイルスで電車は危険だからともっぱら自粛生活中なので、とても幸運でした。東京医科歯科大学名誉教授で国立感染症研究所エイズ研究センター長なども務められた山本直樹先生です。
時期が時期ですから新型コロナを話題しないわけにはいきません。山本さんは「日本は死者が極めて少ないので、政府や医療現場はうまく回っているようだ」と認めたうえで、今後の急増を懸念されていました。
「PCR依存はおかしいし、PCR検査も少なすぎます」。PCRは鼻や口のウイルスを調べますが、やり方が悪いと陰性と判断します。また、諸外国に比べて日本の検査数は少なく、多くの感染者が未検査のままです。
山本さんは病院で簡単にできる抗体検査が必要と話されました。PCR検査で陰性の人の中にはウイルスに感染したものの、ウイルスをやっつけて抗体を作った人が多くいる可能性があります。こうした人は隔離の必要もなくなるし、どんどん増えていけば流行は収まります。流行の予測も正確になる、というわけです。
ウイルス専門家といえば沖縄の根路銘国昭・生物資源研究所長を思い出します。ネットにはすでに2月、および3月に作家の山根一真さんがインタビューした記事が掲載されていました。根路銘さんは新型コロナはインフルエンザより感染力も肺炎を起こす力も弱いのに世界中が騒ぎすぎている、また、同じコロナウイルスで起きたSARS(サーズ・重症急性呼吸器症候群)の事例から、感染者を閉鎖病棟で隔離するのはウイルスの培養になり、むしろ病室の換気が重要、とも指摘しています。
史上最大の感染症は1918年のスペインかぜで、世界で5000万人も亡くなったそうです。インフルエンザでも毎年何十万人も犠牲になりますが、途上国が中心なので先進国は冷淡です。それらに比べれば、というのもその通りです。
実は今冬、米国ではインフルエンザのため1万2000人が亡くなり、大騒ぎでした。新型コロナは現在8500人ですが、それを上回る可能性があります。最多のイタリアは1万5000人超。何といっても死亡を減らすのが最大の課題でしょう。