田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」
(319) さあ何ができる?厚労省の働き方改革
今回もびっくり玉手箱のような話です。8月26日、厚生労働省職員の働き方に取り組む若手チームが緊急提言をまとめ、根本厚労相に提出しました。
働き方改革の担当官庁は旧労働省を含んだ厚労省で、担当大臣は厚労相が兼務しています。その本気度を示すためか、同省は4月、自身の業務改革に取り組む若手チームを結成しました。20、30代の若手職員38人からなるチームが幹部や職員のヒアリングやアンケート調査をしてまとめた提言です。新聞では簡単な要約記事でしたが、実はそれが90ページにも及ぶ膨大な内容だと知ってとても驚きました。
20、30代職員のアンケートでは49%が「やりがいのある職場」と認める一方で、58%が「健康に悪影響を与える職場」、45%が「職員を大事にしない職場」、そして41%が「やめたいと思うことがある」と答えています。業務量が「多い」と思う職員が65%で、その原因は「人員不足」67%、負担を感じる業務は・国会関連・調整・電話対応の順でした。国会答弁や所管委員会出席、審議会などの開催回数、抱える訴訟件数は厚労省が断トツです。極度の人員不足から統計調査ミスなどが起き、それがさらに業務増加を招く悪循環になっているようです。
ではどうしたらいいのでしょうか。チームの提言は、まずは大幅な人員増、そして業務の分業・集約・外注化などによる生産性向上です。担当部局が会場設営から資料やホームページの説明もする現状より分業、専門家の起用です。若手職員の47%が毎日30分以上も電話応対しているのをコールセンター充実で減らす、などです。国会議員の質問を聞き、大臣の答弁を作る作業や資料作成、説明などのため、国会開会中は冷房も効かない夜間や早朝、休日勤務が続きます。問題点は明らかですが、大増員や機構改革は困難で、いつもうやむやで終わるのがわが国の伝統です。
委員会で議員が質問し、大臣が答弁します。2人ともよく知っていると敬服しますが、多くは何も知らない議員のために職員が適切な質問を考え、大臣の答弁も用意します。答弁は大臣がするとの原則があり、問題を大臣に理解してもらうために職員の業務が過酷になっています。私は「局長や審議官が答弁するように変えるだけで職員の業務量は半減できる」と、厚労省の元幹部から聞きました。