医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2019年8月5日

(316)韓国とのこじれた関係ますます憂慮


 前々回に触れた問題ですが、お隣の韓国との関係がますますこじれ、悪化しています。日本政府の強硬な姿勢はどこからの要求でしょうか。このままでは戦争とはいわないまでも、事実上の国交断絶になりかねません。政治家も官僚の皆さんももうちょっと落ちついてほしいです。ついついの老婆心、いや老爺心ながらもう一度。
 きっかけは昨年10月、「徴用工」問題での韓国大法院 (最高裁)が日本企業に慰謝料を支払う判決を出したことです。日本政府は1965年の日韓請求権協定で、戦時中の賠償問題は「完全かつ最終的に解決された」との見解です。一方、納得していない元徴用工や家族は日本企業相手に訴訟を提起し、韓国の裁判所はそれを認めました。
 日本政府は判決を協定違反と無視、韓国政府は容認、と評価が分かれました。勝訴の韓国人が該当企業の韓国内資産を売却しようとした段階で、安倍政権は突然、強硬政策に転じます。7月4日から半導体や液晶材料のフッ化ポリイミドなど3品目の輸出規制を強化しました。1度申請すれば3年間は有効だった輸出を契約毎に申請、と変わります。韓国の基幹産業を標的にしたいやがらせです。
 国民の56%が規制強化を支持している (『朝日新聞』世論調査) そうですが、私は違和感を感じました。河野外相や世耕経産相の「徴用工問題の報復ではない」との説明はいかにも白々しく、逆に、規制は世界貿易機関(WTO)の協定違反とする韓国外相や大統領の発言の方がまっとうのようでした。
 さらに政府は8月2日の閣議で韓国を輸出管理の優遇対象国から外すと決めました。27カ国の優遇国から外れると、工作機械など軍事転用の恐れかあると判断された品の輸出が規制され、韓国にとっては大きな打撃になりえます。
 韓国では国民の反日感情が高まり、航空便の減便、観光客の激減、訪日・訪韓行事の中止などの事態に発展しています。名古屋市で開かれ、慰安婦少女像が出ていた「表現の不自由展」がテロ予告を受けて中止されました。
 だれがどんなトクをするのでしょうか、不思議です。

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