医療ジャーナリスト 田辺功

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田辺功のコラム「ココ(ノッツ)だけの話」

2019年7月22日

(314)気がかりな韓国との関係悪化


 お隣の韓国との関係が急速に悪化しています。戦時中に朝鮮半島から日本の工場に強制的に連れて来られ、働かせられた「徴用工」問題で、韓国大法院 (最高裁)が昨年10月、日本企業に慰謝料を支払う判決を出したことがそもそもです。日韓政府の対立が続き、安倍政権が7月から韓国経済の弱点を突く半導体材料の輸出規制強化を実施したことで一挙にエスカレートしました。
 裁判所や外交文書はたいてい複雑難解です。それにもとづく新聞やテレビの解説は何度も読んだり聞いたりしてももう一つ理解しきれない感じがします。
 おおざっぱに言えばこんなことでしょうか。日韓政府は1965年、日本が戦時中に与えた損害賠償として韓国に多額の資金援助をするとの日韓請求権協定を結びました。その時に賠償問題は「完全かつ最終的に解決された」と合意しました。しかし、納得していない元徴用工や家族は日本企業相手に訴訟を提起し、韓国の裁判所はそれを認めました。一方、「解決済み」とする日本政府は企業に慰謝料を支払わせず、韓国政府の対応を不満として対抗措置に転じたわけです。
 自由貿易を常に主張する日本の輸出規制は矛盾がありますし、私は安倍内閣らしいいじめ、嫌がらせを感じます。韓国の裁判所は協定に個人の請求権消失は含まれていないと判断したわけですが、先進国の裁判所は証拠尊重が原則で、何の根拠もなく判断した、などとは考えられません。協定締結時、韓国政府は国民に内容をきちんと知らせておらず、また、日本と違って韓国はしばしば与野党が入れ代わる政権交代がありました。協定の評価が変わるのもやむをえない部分があります。また、協定の範囲についての日本政府の見解も終始一貫していたとはいい切れないみたいです。
 韓国、中国などの近隣諸国とは万難を排して仲良くしてほしいと思います。軍事力で対抗といったトランプ的な乱暴な政策でなく、友好・平和を基本とすべきです。在日の人たちを差別するのも問題です。
 昨日の参議院議員選挙で自信を得た安倍政権が対韓国問題で暴走しないよう願っています。

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